意匠紋紙の仕事
図案
図案家(正絵師)が織物のサイズと同寸の原画を多種多様な表現方法で描いた物を、図案(正絵)という。
打ち合わせ
図案を元に、織物製造会社(織屋)と構図、配色、織物組織などを打ち合わせする。製織方法などによっては、構図を変更する場合もある。
増し絵
織物の設計図にあたる紋意匠図の第一段階が増し絵という。製織方法に合わせた縦横比率の違う方眼紙(意匠紙)に鉛筆などで輪郭線を型取っていく。織物の絵柄の基礎となる部分。
彩色(さいしき)
輪郭線で描かれた意匠紙に色を塗っていく。昔は泥絵具といわれる物を使用していたが、近年ではアクリル絵の具などを用いて塗る場合が多い。
把釣(はつり)
彩色された意匠紙の方眼のマス目1つ1つに、色を差し込んでいく。ドット絵のように描かれた線を把釣目といい、織物の仕上がりに影響する。また、砂子、滲み込み(しみこみ)などの技法を用いて、様々な表現方法で描く。
メートル
把釣の作業により意匠図が完成。その右側に織物に使用される横糸(ぬき糸)の種類と部分をしめしたメートル線を引く。メートルは、この後の織物設計をする上で必要不可欠なものである。
交換(こうかん)
自動織機の場合、意匠図に引かれたメートル線を元に、絵柄とぬき糸の位置関係を考慮しながら、織機装置の左右にあるぬき糸の管(杼)の動きを指定する。織物のシワやたわみを減らす為に緻密な指示が必要となる。
織物組織
実際の織物の縦横の糸に、交差の仕方を織物の柄に応じて入力していく。平織、斜文織、朱子織という三原組織を元に、無限ともいえるバリエーションに変換させて、織物の仕上がり、風合いなどを表現する。
手彫(てぼり)
完成意匠図と、交換、織物組織をもとに、縦長の厚紙(紋紙)に織情報の穴をあけていく。穴が空いているか、いないかで、織機装置に信号を送る紋紙は、デジタル信号と似ている。昔は手彫機(ピアノマシン)により人手により作業されていたが、近年では全自動機械によって作られている。
紋網(もんあみ)
完成した1柄分、何千枚にもなる紋紙を編糸を用いてキャタピラ状に繋げていく。すべての紋紙を繋いだものを、織機装置にセットする事により、織物が製織されていく。
現在の織物デザイン
上記の意匠紋紙の仕事は、昭和後期に導入されはじめた、織物業界のコンピュータ化によって、一部作業がパソコンで作業されるようになり、現在においては、ほぼ100%に近い形でPCでの作業が導入されている。しかし、織物製織のキモとなる上記技術無しでは織物設計をする事は不可能である。下記がPCにて変換され、作業されてる内容である。
印刷による意匠図のプリントアウト
PCにて意匠図(図案)をイメージスキャナで取込み、DTPソフトなどを用いてドット修正、データ化し、プリントアウトする。
CGS(織物データ)へ変換
PCにて専用織物設計ソフトを用いて織物柄データ、交換、組織の情報を電子織機で織れるよう1つにプログラムし、業界のデータフォーマットであるCGSへと変換する。CGSを織機装置にセットする事により、織物が製織されていきます。
一部画像提供 西陣意匠紋紙工業協同組合青年会